通常、組織の目標・ビジョンは経営層や経営企画部署が中心となって策定を進めますが、近年、従業員をその過程に参画させることによって、より実現性の高い内容にしていこうとする取り組みが行われてきています。従業員が目標やビジョンの策定の過程に携わることを通して、組織の未来に向かう一体感や目標やビジョンに対する納得感を高めることにもつながります。また、現代のように常に企業を取り巻く環境が大きく変化を続ける中では、各現場の第一線で。その変化に日々接している従業員たちが一同に集い、それぞれの感じている変化を寄せ集めた中から現実的な目標やビジョンを生み出すことが有効な場合が多くあります。 組織によって取り組みの仕方は様々ですが、ここではひとつの典型的なパターンを示しておきます。目標・ビジョン作成に向けて、各現場のリーダークラスを集めたコアチーム（10人前後）を作ります。彼らには、経営からの期待を十分理解させるとともに、ホールシステムアプローチや共有ビジョンなどの意味、他社事例などを教育します。 彼らを中心にして、その後のプロセスを恊働しながら設計していきます。まずは外部環境で起こっていることをテーマにした対話の場を設定します。この対話の場では、顧客や競合の動向についてそれぞれが持っている情報を寄せ集めるとともに、その背景にある変化のパターンについて探求していきます。 そして、その後、その変化のパターンに対して、組織としてどう対処すべきか、その対処をする理由はどこにあるのかについて対話を通してさらに探求を深めていきます。

これらのプロセスの途中で経営層との報告会や調整ミーテリングを実施し、経営の方向性との乖離が生まれないようにしておきます。その後、これらの土台をもとにして、組織の目標やビジョンの策定へと進んでいきます。