1960年代、高度成長期の中で現場の品質管理を担うエンジニア人材が不足していました。そんな中、現場の作業員たち自らが不良品発生の原因分析、改善、生産性向上に取り組みはじめました。この取り組みはその後「QC(クオリティサークル)」となって発展し、日本の製造業が世界的な競争に打ち勝つ要因の一つとなりました。
昨今、再び、こうした現場主体の生産性向上、品質向上に取り組もうとする企業が増えています。ここでは、ホールシステムアプローチをベースにした新しい現場活動について考えてみます。
「QC」の全盛期であった60年代と現在との違いは、生産性や品質に取り組む難易度が格段に上がっていることがあります。現場レベルですぐに改善できるテーマがたくさんあった60年代に比べ、現在は、現場だけでは解決できず、他部署や取引先との協力によってしか解決できないテーマが多いのです。
最初のキックオフミーティングでは、生産性、品質向上に取り組む上で関係する人間を広く集めます。経営層から取り組みの目的、ゴールなどについて共有した後、OSTを使って一人一人が解決すべきと考える重要なテーマについて対話をしていきます。この対話を通して、組織として取り組むべき重要テーマが浮き彫りになっていきます。
その後、経営チームによる検討ミーティングを通して、経営として取り組む重要テーマについての意思決定をします。同時に必要な人員配置、プロジェクト発令、予算策定、効果測定方法の設定などを行います。
定期的に進捗報告会を開き、複数の重要テーマについての進捗度合い、そこから見えてきたことを共有します。この際、ワールドカフェなどの手法を使い、各個別の取り組みをより素晴らしいものにしていくための対話をテーマ横断で続けていきます。