「そもそも何のためにOSTを開催するのか」という目的を明らかにすることから始めます。それは「共働き夫婦のワークライフバランスを考える」かもしれませんし、「新製品の開発」「間接部門の生産性を上げる」「事故を減らす」「顧客サービスの向上」「被災地の二次災害を減らす」「サッカーの試合の入場者数を増やす」「外国人観光客を増やす」かもしれません。
さまざまな立場や利害関係者が一堂に会して話し合うことで何か新しい取り組みが始まり、新鮮なアイデアが生まれる可能性のある目的を設定すると良いでしょう。OSTでは、参加者が自主的に話し合いたいテーマを提案するようになっていますが、目的が曖昧だと誰に参加を呼びかけるかが定まりませんし、参加者もどんなテーマを出してよいか、わかりづらくなります。ですから、OSTを企画するにあたって、目的を明確化することはとても大切なのです。
また、開催の当日には、OST開催の目的を参加者が十分に理解していて、テーマについて話し合うことに強い情熱と責任感を持ってのぞめるように配慮しておくことが大切です。
次に、あなたが外部のファシリテーターであれば、主催者やスポンサーなどとの意識合わせも欠かせません。これはOSTの開催目的とも関係してきますが、主催者側がどんな成果をOSTに期待しているのかを確認しておきましょう。
ワールド・カフェとの組み合わせが効果的
ワールド・カフェでは、多様な視点を取り入れた話し合いが行われることにより、テーマに対する理解を深めることができます。しかし、ワールド・カフェは結論を出すための話し合いの手法ではないので、話し合いの結果が直接的にアクションに結びつきにくいと言われています。
これに対して、 O S Tでは、参加者の内発的な動機から提案したテーマについて話し合いが行われるので、検討が深まり、具体的なプロジェクトや行動に結びつきやすいというメリットがあります。
従って、ワールド・カフェでテーマに関する理解を深め、具体的なアクションを導くためにO S Tを実施するという組み合わせがよく行われています。
出典:
『OST実践ガイド』(英治出版2018年)
『ホールシステムアプローチ』(日本経済新聞出版社2011年)
『ワールド・カフェから始まる地域コミュニティづくり』(学芸出版2017年)